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医療最前線 > Report No. 01
白内障手術の現状
MeL(メル)眼科クリニック(東京都西東京市田無町)
院長
徳永 貴元 眼科医師

白内障手術の現状について、西東京市にあるMeL(メル)眼科クリニックの徳永医師に話を伺った。
徳永院長は、「地域の眼のドクター」として、一般的な眼科治療(例えば、ものもらいやドライアイの治療など)から、緑内障、白内障、糖尿病網膜症といった 疾患の手術まで、幅広い領域の眼科治療を行っている。特に、白内障の手術に関しては、平均して月に20件以上行っているという。
最前線で治療を行っている眼科専門のドクターから、白内障手術の現場の、具体的な話を聴いた。
白内障だとわかっても、本人の自覚症状が無い場合は手術はしません。
手術をするかどうかは、自覚症状のあるときに、ご本人と相談して決めます。
眼の断面図
白内障手術の模式図
─ まずは、白内障という病気について教えてください。
目には水晶体という部分があります。
これは、カメラで言えばレンズにあたる部分です。
水晶体が濁ってしまうと、光がきちんと入って来ないため、見えづらくなってしまいます。
これが白内障です。
白内障の根本的な治療法は、やはり手術です。
手術で、この濁った部分を取り出し、そこに人工のレンズを入れます。
─ 患者さんの自覚症状はどのようなものですか?
濁り方によって、多少違ってきます。
霞んで見えるとか、明るい所でまぶしくて見えない、二重とか三重と重なって見えてしまう、とか。
今まで老眼鏡が無ければ近くが見えなかったのに、気付くと老眼鏡が無くても見えるようになっている、そういう濁り方もあります。
こちらで診て、白内障になっているなと思っても、人によってはあまり視力が落ちないこともあります。
濁っている場所や濁り方によって、大丈夫な時があるんですよ。
そう言った場合は、手術はしません。
本人の自覚症状が無いからです。
結局は本人の自覚症状があるときに、一緒に相談して、手術をするかどうか決めます。
本人の自覚症状があれば手術を行う、それが無ければ、手術は行いません。
─ 実際、月にどれくらい白内障の手術をされていますか?
手術は、週に6名くらい、月だと20~24人くらいの方に行っています。
年齢層は、70,80代の方が多いですね。
─ 手術はご高齢の方には難しいのかなというイメージがあるのですが?
例えば、90代の方でも、元気で暮らせている方でしたら可能です。
大きな病気、例えば心臓が悪いという場合は入院での手術を勧めますが、健康であれば、高齢の方でも日帰りで手術を行うことができます。
─ 手術時間はどれぐらいかかるんですか?
普通は20分あれば終わります。
術式は様々なのですが、私の術式は最もオーソドックスだと思います。
当院では日帰り手術ですが、手術の準備とか術後の説明などありますので、来院されてからだいたい1時間半から2時間程度は医院にいることになります。
術後は、普通は眼帯をしたまま帰ってもらい、翌朝九時半に来てもらいます。
それまでは眼帯しっぱなしで、医院に来て初めて眼帯を取ります。
手術直後から、見えることは見えますが、やはり安全面を考えると、眼帯をするべきですね。
─ 手術の当日、手術後に気を付けることはありますか?
手術前には、目薬をつけてもらっています。
細菌を殺すための抗生物質の点眼です。
手術の二日前からある程度細菌を殺しておいて、手術に入ります。
この点眼をきちんと行って欲しいです。
術前の、とても大事なことですね。
術後は、その日に眼帯を取っちゃう方がおられるのですが、それは止めてほしいです。
安全面を考えて、眼帯を取らないようご家族の方に協力してもらっています。
─ 手術までの来院は何回ぐらいでしょうか?
最低二回はかかります。
白内障の手術では、水晶体があった部分に人工のレンズを入れるのですが、その人工レンズは、その人その人それぞれ違うものを選んで入れます。
コンタクトレンズみたいに、その方にあったレンズを選定する必要があるんですけど、その選定をするために検査をしなくてはなりません。
その検査の時に、手術の説明と血液検査も行います。
それなりに時間を要しますので、予約で行っています。
手術にしましょうとなったところから、検査をして、手術となります。
ツーステップは当然必要になってしまいますね。
─ 手術は痛くないのでしょうか?
痛いという方はほとんどいないですね、麻酔をするので。
最初に麻酔の目薬をして、そのあとに、もう少し効き目の良い麻酔薬を結膜に注射します。
麻酔薬の注射の時も、もちろん手術中も、痛みを訴える方はほとんどいません。
それぐらい痛みがないみたいです。
なんでもないという方がほとんどですね。
手術後も痛みはほぼありません。
ちくちくするとか、ゴロゴロするとか、そういうのは時々あります。むしろ痛みがある時は異常事態と考えて、連絡してもらうようにしています。